会派視察。東芝府中工場。
ご説明:東芝首都圏支社長 田尻 澄夫 様
東芝は、株主資料でスマートコミュニティの市場規模を2015年8兆円として、東芝の戦略を立てている。
東日本大震災以降、パラダイムシフトが必要になった。
電力供給は、安全を大前提としながら、安定・環境・経済性と、それぞれが相反する舵を切っていかなければならない。
今年7月から買い取り制度が始まる中で、特に太陽光発電を行う事業者が多い。
エネルギー自給率・地産地消、いざという時のバックアップの為のニーズの高まりがある。
コンパクトタウンについて
徒歩が基本になり、エコビークルでサポートする。快適な暮らしと、環境対応を両立。
電力キャパシティ・電力ピークの緩和を考えると、エコカーの充電スタンドなどの電力料金は変動性になるのではないか。
都市エリアでは再生水を利用。上水道・再生水・海水淡水化プラントを利用し、需要に応じて最安値のコンビネーションを自動選択。
二酸化炭素を、回収プラントで回収し、植物工場で利用。
医療分野-病状を在宅で医師がモニタリング。医療クラウド(診療所・大規模病院間でデータを共有)。メディカルツーリズム。
スタジアムでは、試合中の電力ピークを揚水発電がカバー。
クラウド技術で電力情報を管理。
CEMS(地域エネルギーマネージメントシステム)
地域で電力を削減するメリットは、イメージしづらいので、融通し合っているように見せる仕掛けが必要。誰がどのように得をするか見える化をはかる。
自然エネルギーによる電圧が上がると、運転を止めるシステムでは、もったいないので、止まらないように制御する。
需給フラット化が必要。
横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)
国内最大規模。
対象地域:みなとみらい・港北・金沢区。42万人・17万世帯。
アクセンチュアが事業全体を取りまとめ、東芝・日産・東京電力などが参加。
震災以降、日本でも注目されているデマンドレスポンス(電力削減にインセンティブ)。アメリカでは既に始めている。経済的合理性。ネガワットとは使われなかった電力の事。
震災前からの事業で、昼間電気を貯める事業も(今では発想が合わないが)。
アグリゲータ(ビルをたばねて省エネ管理支援)。住宅メーカーである三井不動産・三菱地所と提携。
HEMS(マンションシステム)
一般家庭の場合、例えば、はじめに1万円を対象家庭に差し上げ、平日昼前の電気料金は高くなると事前に伝え、使用量が8千円であれば家庭が得をする仕組み。
マンション共用部に、蓄電池を導入して、万が一の停電時に備える。住宅全部は非常に大きな蓄電池がかかるが、共用部だけなら可能。
横浜市港北区大倉山のマンションで販売開始(三井不動産)。
各国の自然エネルギー導入の視点
アメリカは、停電が多いので、いかに停電を無くすか。マネーゲームになっていた。しかし、電力ネットワークに投資しなかった。発送電分離の失敗例。
日本は、再生可能エネルギーをいかに安定させるかから始めた。
ドイツは、去年電力を他国に売っていた。
発送電分離について
IPP(独立系発電事業)は、まだ総電力供給のコンマ何%の世界。太陽光発電は、質のいい電力とは言えない。鹿島火力発電からの電力を入れようとした時、東京電力管内の送電が落ちた事がある。神奈川地区の系統は、電源系が無い為、非常に弱い。埼玉はしっかりしている。
フェミニティ(東芝の商品名)
家庭にITホームゲートウェイが必要。分電盤の横にIT電力ユニットを付ける。壁スイッチをネットワーク化して、オンオフ管理。
留守中にどんな来訪者がいたか、録画。防犯情報を携帯にお知らせする。
女性の場合、防犯上、外にいても電気を付けるサービスにも使える。
エアコンの温度を上げる。エコボタンを強制的に押す事もあるかも知れない。
将来的にダイナミックプライシング(価格変動)を考慮。
エコロジーモード(環境にやさしく自給自足を望む客)、エコノミーモード(夜間電力を買い込み、昼に売電をしたい客)の仕組みづくりを今行っている。
エネファーム
家庭で電力をつくる。地産地消。700W発電と蓄電池。
学習機能が備わっており、半年くらい使うと認識する。インターネットとつながっており、天気予報を取り込み、陽の照り方からして、その人の生活様式に合わせて提案する。
火力発電の発電効率向上について
ガスタービンと蒸気タービンのコンバインドサイドが必要。
現在の発電効率30%から50何%へ上げられる。
1200℃と高温になるので、設備の材料の課題がある。
LNGを一番買っているのは、東京ガスではなく、東京電力。
地熱発電
東芝は、富士電機に次いでシェア2位。
「地熱発電をすると、温泉が枯れる」と言われる事があるが、そうではなく、水を入れて蒸気を抜くので、枯れない。
国立公園の所管は、環境省・林野庁。
地熱発電は、九州が数多く、進んでいる。その次は東北地区。
磐梯で地熱・太陽光を手掛けている。
地熱の小規模は、神戸製鋼・荏原がバイナリー(100・200キロくらい)。
東芝の国内・海外での取り組み
大阪府茨木市にある東芝の工場跡地にスマートコミュニティの住宅地を開発。(実績)
宮古島離島独立型新エネルギー導入。
EUでは『20-20-20ターゲット』と銘打ち、「1990年比で温暖化ガス20%削減、エネルギー効率20%改善、自然エネルギー利用割合20%達成」を目指すとしている。この目標5年前倒しを目指すフランス リヨンでのプロジェクトが、今年1月から実証事業開始。フランスは、電力の自由化の実証も考えている。
インド、デリー・ムンバイを結ぶ経済産業省主導のインフラ輸出。インドでは停電が多く、電力が安定しない。東京ガスとコージェネレーション(排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出すエネルギー供給システム)事業を行っている。
メガソーラー
東芝が太陽光発電システム国内シェア50%
新潟県(阿賀野市)今年7月竣工。1.25メガワット。LGの太陽光パネルを使用。
買い取り制度の発表前に、合計60万MW分の問い合わせが来ている。
発電だけでなく、直流を交流に変えるPCS(パワーコンディショナー)を3機種開発し、世界最高効率。
埼玉県内での東芝の太陽光発電例
吉川市は、スクールニューディール事業で、吉川中学校に30KW。
さいたま市は、大成小学校で。深谷市は市役所と体育館で。
浦和美園では住宅100戸。
レイクタウン住宅展示場のモデルルーム6戸。マイクログリットのプレ試験的な位置づけではないか。
寄居町ではホンダ自社の太陽光パネル。ホンダはPCSを造っていない。
県の動向(東芝 首都圏支社管内)
1番積極的なのは、栃木県(候補地30箇所。小推力の特区。足利銀行)。
2番は、群馬県(廃棄物発電で昨年度、特区申請)。畜産バイオで、ガスエンジン。
茨城県は、洋上水力発電・廃棄物発電。企業誘致難しく、土地誘致に積極的。
千葉県は、メガソーラーの話が何件か出て来ている。
新潟県では、越後湯沢(松之山温泉)で地熱発電。井戸調査を3年くらい前からやっている。
長野県では、メガソーラー1件。
栃木県は遊休地を活用しようとしているが、発電施設と送電線との距離が課題。
群馬県ではマッチング会を実施。自治体から発電事業者に土地を説明している。
(昨日私は偶然、東芝の株主の方に資料を見せて頂き、東芝は、株主向け資料でスマートコミュニティの市場規模を2015年は8兆円として、東芝の戦略を立てている事が分かった事をお話したら)
株主から「“スマート”の意味が分からない」との声が寄せられた。
東芝は、スマートコミュニティ導入にあたり、地域の市民団体とも話しており、導入によって、住民が結びつきを持つ機会になる。
トータル(まち全体)にどうつなげるかが今後の課題。
これまで1戸1戸の受電だったが、“一括受電”が流行っている。電力を使う時間帯の違いで融通し合う。電力会社からすると収入が減る。50kW以上が高圧。2,000kW以上が特別高圧。
(質疑させて頂いた後、太陽光発電システムを見学させて頂きました)
太陽光発電
府中工場の屋上に太陽光パネルが2700枚あり、最大出力420kW(各種メーカー)。1メガで敷地は200ha必要。
東芝府中工場 写真左下のビルには太陽光パネルをのせられたが、
一般的な工場建物には、重くてのせる事が出来ないとの事。
東芝の太陽光発電システムの最大発電能力は240W。現在、年間稼働率は13%。太陽光発電が安定・基幹電源になるのは難しい。
実際の発電量 今日(小雨→曇り。15時時点)445kW、今日までの月間9540 kW、、今日までの年間139470 kW。
工場は建て屋ごとに電力計を設置。
工場に太陽光パネルを設置した部分は、以前から緑地扱いになる。
しかし、一般的な工場の屋根には、重すぎてパネルは、のせられない。
夏は太陽光発電の能力が高いように思われるが、パネル表面の温度が熱すぎて能力が落ちる。夏至の日は30~40%能力が落ちる。
パネルの設置角度10~15度。緯度と合うのがいい。パネルを自動追尾を動かすほうが電力がかかる。
1kWの設置コストは地上ではおおむね25万円。屋根では22万円。
このたび国が示した買い取り価格42円は“税込”価格。消費税7%が採算のボーダーライン。37円で事業の採算性。
家庭用の6.6kWソーラーパネルには、150㎏の設備が必要。
大規模太陽熱のエネルギー変換率は30%。
なお、東京スカイツリーのエレベーターは、東芝のものが使われているとの事(以上、視察報告)。
県庁。教育局調整幹。スクールニューディール事業について。
三郷特別支援学校での教諭による児童虐待事件について、県議とNHKニュース映像を見る。
今日の視察報告書作成。東芝の太陽光発電について更に調査(終電で帰宅)。