交通死亡事故減少対策の更なる取り組みとは何でしょうか? -死亡事故ご遺族と触れる場と、啓発品配布を-

平成26年2月27日 県議会、一般質問

6.交通死亡事故減少対策の更なる取り組みとは何でしょうか?
-死亡事故ご遺族と触れる場と、啓発品配布を-

質問 中川 浩

 いま私の声を聞いて頂いている皆さん。皆さんが、もし交通事故防止対策の担当者でしたら、死亡事故を減少させる何を新たな対策として自ら提案し、取り組もうとされるでしょうか?
交通死亡事故は、県警などの取り組みにより、減少して来ておりますが、過去の全国の死亡事故者数をおおむね4年分を足せば、東日本大震災の死者数を上回ってしまいます。
義務教育の学校で日本人全員が、人を傷つけたりしてはいけないと教わり、運転免許を取得した全員が、無謀な運転・不注意な運転はしてはいけないと教わりますし、交通違反をすれば更に講習時間は長く教えられるのに、無謀運転は無くならず、死亡事故が無くなる事はありません。
それは、どうしても事故が他人事であり、自分は交通死亡事故は起こさないと、どこか過信がある事に気付いていないからではないでしょうか。
 私は先日、犯罪被害者支援県民の集いにお邪魔し、会場には、メッセンジャーと呼ばれる、交通事故に遭って亡くなった方々の等身大パネルが展示してあり、亡くなった方々の在りし日を、静かに語っていました。
1人1人のメッセンジャーに目を通していると、当たり前の事ですが、交通事故で亡くなった方々には、ここにおられる皆さんと同じように人生があり、将来の夢や希望があり、親・子供・兄弟などの家族がいた方が奪い去られたのが、実感させられます。
残された家族は喪失感に襲われ、(何の前触れもなく不安になり、何年経っても涙が止まらない時があると言います)子供なら尚更成長にも影響が大きいでしょう。
また、一家の大黒柱を失って、生活が一変した方もいます。
 私はメッセンジャーを見させて頂き、そして直に交通事故で命を落とされた方のご遺族にお話を伺い、心を打たれました。
私もそうですが、ここにいらっしゃる皆さんも、これまで講演会や講習会で、様々な方のお話を聞かれたと思いますが、人生がそれによって変わったという機会はそれ程多くないと思います。人が変わるのは、居ても立ってもいられなれなくなって初めて、変わるきっかけになるのではないかと思います。
安全運転に気を付けるかどうかは、結局のところ、ドライバー本人の性格によるものが大きいと思いますが、性格はそう簡単には変わりません。
だからこそ、よりインパクトのある、効果的な新たな交通死亡防止対策が必要だと思うのです。
免許講習で、ご遺族の方々の話をビデオで聴く取組みは、既に実施されているとの事ですが、私はご遺族の方と何らかの交流をして頂いたほうが、より心に響くと思います。
 そこで、交通事故遺族を直接身近に感じられるよう、例えば講習や、主要駅(のコンコース)で行うイベントなどの場で訴える事は出来ないでしょうか?
また、交通事故遺族の方を目の当たりにした人が、車のエンジンキーを回す時にも、その事を思い出せるように、交通事故遺族の方々から、県民に直接、何らかの啓発品を配る官・民一体となった取組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか?
(先日(NHK)ニュース番組で、「交通違反の厳罰化により、死亡事故大きく減って来ているが、それは厳罰化だけでなく、社会的な機運の高まり、国民への周知の取り組みが相まって減っている」と報道されていました。これらの取り組みが、県民に伝わる事を切に望みます)
県警本部長のお考えをお聞かせ下さい。


答弁者:杵淵智行 警察本部長

県内の交通事故死者数は、最多となった昭和45年の845人から、この40年余で4分の1以下となる180人まで減少致しました。
しかし、朝元気に家を出て行った家族が、突然交通事故で亡くなり、無言の帰宅をするという現実に直面した御遺族の悲しみは図り知れないものがあります。
県警察と致しましても、更なる交通事故の減少を図ると共に、交通死亡事故が発生しない日を一日でも多く、また、長く続くように取組みを進めています。
県警察ではこれまでも、交通事故の被害者や御遺族に講演をお願いし、交通事故や犯罪捜査に携わる警察職員への講習を実施しています。
また、警察が業務委託している安全運転管理者講習では、交通事故の被害者や御遺族、支援団体職員の講演も取り入れております。
今後とも、議員の御提案も参考にしつつ、被害者や御遺族、関係者の意向も踏まえ、交通安全に関する各種行事や研修等に参加して頂くなど、県民の心に伝わる、より効果的な啓発活動に努めてまいります。