2012年4月25日の活動

政策調査、自然エネルギー政策について。

全国若手議員の会意見交換会(参議院会館)。


環境省 廃棄物対策課長と、震災がれきについて意見交換

 

環境省 廃棄物対策課長(以下、説明)
福島原発事故による放射物質環境汚染への対処について
 今回の原発事故は、あってはならない事。
 8000ベクレルを超える指定廃棄物は国が処理。現在把握出来ている量は5735トン。
 8000ベクレルの根拠は、ガイドラインにも書いたが、埋め立て処分場の作業者の被爆を考慮。もちろん、周辺の環境にも配慮したもの(指定廃棄物の最終処分場イメージ図3,4ページ)。
 特定廃棄物で可燃性のものは燃さないと埋めた時安定しないので焼却する。
 10万ベクレルを超えるものは中間貯蔵施設を整備。双葉郡に関しては3町に分散して施設を設置したい。
 排水を一切外に出さない遮断型の処分場をつくっていく。
 最終処分場は、民有地では難しいので、国有地の活用を考えており、副大臣が各県を回っている。

震災がれき処理について
 処分済みは、岩手・宮城・福島3県合計で9%(4月23日現在)。
 石巻市が典型的だが、石巻市では被災した住宅のうちの5割、1万~2万戸の解体の依頼がまだある。石巻1市で、宮城1県分の量の廃棄物。石巻市で来月仮設の焼却炉の試運転が始まる。
 昨年度末までに、がれきを仮置き場に集める予定だったが、被災地の地盤沈下で重機が入れない問題があり、今年度末までには、がれきの集約を終える。
 再利用が可能なものは、極力再利用する。大船渡市に大きなセメント工場があり、セメント原料として有効利用している。
 都県府県・市町村の協力状況(4月26日現在)。静岡県島田市は、これから本格的な受け入れ。群馬県吾妻地区・秋田大仙市は、受け入れを開始する。
 山形県では、民間での受け入れ。15万トン分を3月に要請。
 青森県は、11万6千トンの受け入れ。北九州市は、4000トン受け入れへ。
 福島県の4市町、今週入札。一方で、仙台市はあと約1年で処理が終る。
 処理費用について、これまでの災害では国が1/2補助で、残る1/3を被災市町村に交付税措置だが、今回は全額交付税措置対象にしている。
 4月23日には、総理の協力要請に回答頂いた全市町村に対し、お礼と今後の方針の文書を通知した。
 焼却時の放射性物質について。焼却時、セシウムは600度、塩化セシウムは1300度を超えると気化するが、その後200度に冷却するので、セシウムは気体でいられない。セシウムは消えて無くなる訳ではない。
 阪神大震災で発生したガレキは2000万トン。しかし、高速道路が倒れるなどインフラ系が550万トンで多くがコンクリ。住宅系は1450万トンで、うち可燃物が250万トンだった。
 東日本大震災では、宮城・岩手2県で可燃物が480トン発生。
 被災地の北のほうはリアス式海岸で、仮置き場の場所さえ確保出来ず、仮設焼却場をつくる場所が無い。

<私から発言>
 福島だけでなく日本の原子力発電所から出る放射性廃棄物の最終処分場が、1箇所も無い事について、最終処分場を建設するように取り組んで頂きたいし、どこのまちでも嫌だろうから、脱原発に取り組んで頂きたい。

 

環境省 大臣官房付などと、除染について意見交換

 

環境省大臣官房付、環境安全課長補佐
除染について』。(以下、説明)
 除染するのは104市町村
 被ばく線量が特に高い地域を除き除染特別地域を、26年3月末までに除染を行なう。
 年間20ミリシーベルト未満の地域は、1ミリシーベルト以下を目指す。
 除染の費用、昨年度補正予算・今年度予算あわせて7000億円(国・地方含む)。
除染した後の仮置き場は、30cmの土をかぶせると相当の空間線量減。

<私から発言>
①双葉町では、放射性廃棄物の中間処理施設建設が国から提示されており、町長・議長さんと話していて、福島原発に近く問題に直面している地域の方と、埼玉県など遠い地域とでは、原発問題に対する意識の違いを感じている。
②除染の地域範囲について、人がしばらく住めない地域の除染は、除染する人の被爆も考えて、すべきではないと、大臣官房付から国会議員に進言して頂きたい。除染した土をどこに処分するのだろうか。
 私は被爆についての知識が伝わっていないと思う。高齢者の方が、孫を連れて戻りたいという方が多い気がする。
 戻れる地域と、戻れない地域の線引きの説明を早く行なって頂かないと、子供を持つ働く若い世代は、戻れないと思いながら、戻りたいと思う高齢者に気をつかって、どうしていいか分からなくなっている現状を感じている。
 政治的決断も必要だと思うので、国会議員と接する機会の多い、大臣官房付からぜひ進言して頂くようお願いしたい。

<環境省大臣官房付からの返答>
 除染の必要性だけでなく、賠償・避難区域見直しの中で、判断していきたい。

研修会終了後も、環境省 廃棄物対策課長と、市民の方から頂いた震災がれき処理の質問について聞きました(がれきの利活用)。

厚生労働省 食品安全部 基準審査課長補佐、監視安全課健康影響対策専門官。
『食品中の放射性物質の新たな基準値について』

<私から発言>
 狭山茶の風評被害について問題提起。
(特に話したのは)、放射性物質検査の検出限界値の基準の根拠について聞きました。
 回答は「検査器の性能を考えて、規制値の1/5とした」との事。
 更に私から、大手スーパーのイオングループが放射線量ゼロでなければ売らないとしている事について問題提起しました。

会議終了後、富山県議、桐生・我孫子・甲州市議、文京区議などと意見交換。

 障害者福祉について熱心に取り組まれている大島九州男参議院議員と意見交換したら、インクルーシブ教育を推進する民主党国会議員連盟の勉強会がたまたま今行われていると教えて頂き、大島議員の配慮で参加させて頂きました(この事について後日HP更新する可能性あり)。
 勉強会終了後、文部科学省 特別支援教育課長と埼玉県の障害児教育の状況について、意見交換。
 勉強会を主催された金子恵美参議院議員(福島市選出)と意見交換。

今日のNHKクローズアップ現代『始まった住民帰還 ~福島・川内村の模索~』より。
 原発事故による避難者は現在、16万人。
 福島県川内村は、福島原発から西へ20キロ地域。今月上旬から帰還開始。人口3千人のうち1/6の5百人余りが帰還。
 小中学生で戻ったのは2割。小学校114人中16人戻った。4年生は1人(もとは18人)。

NHK『時論・公論』で、がれき処理についての報道がありましたので、マイナス情報も含めてお伝えします。(番組HPに全文)
 岩手・宮城県のがれきは、2050万トン(ただし、震災後まもない段階での推計)。
 処理が終ったのは現在9%。
 国は、震災前、焼却前のがれきを100ベクレルとしていた安全基準を、240~480ベクレル以下(焼却炉のタイプにもよって違います)、焼却灰で8000ベクレルとした事について、日本最大の科学者の集まりである日本学術会議の提言は妥当だとしています(「国の基準に従えば、健康被害を引き起こすものではない」)。
 日本学術会議に加わった東京大学森口教授は、「放射線被爆による住民の健康被害は心配しなくてよい」とする一方、検討会は全て非公開で、議事録は一部しか公開されていない事から「決定の手続きが不透明で説明も不足。前の基準が厳し過ぎたなら、そう説明しなければ住民の不安を払拭出来ない」。
 国は、がれきの20%を広域処理する事にしていますが「被災地でもっとがれきを処理施設を造れば、被災地で処理出来るのではないか」「処理に時間をかければ、分別作業で被災地の雇用も長く確保出来るのはないか」との声もありますが、そう簡単ではなく、被災地では27箇所に焼却施設を建設する事になっていますが、用地の確保に大変苦労していて、容易ではない。
 焼却した灰などを埋める最終処分場を、新たに造ろうとすれば、地権者や近隣住民の同意を得たり、様々な手続きの必要があり、少なくとも5年以上、場合によっては10年もかかると見られ、とても間に合いません。
 雇用の問題も、既にどこの市町村もがれきの分別などで出来るだけ多くの被災者を雇用する計画を立て、一部で始まっています。
 しかし、被災者が求めているのは、将来に渡って長く働ける仕事で、一時的ながれきの仕事に人が集まらないと困っている。
 がれきの処理に時間をかけられるのは、置き場所に困っていない一部の自治体だけ。
 がれき処理に一番苦しんでいる市町村の1つ、石巻市役所の担当者は、がれきの処理が進まないと、復興の道筋も示せず、住民の流出を食い止める事が出来ないと悩んでいるとの事。